2015 ミラノ万博記念デザインツアー Design Export Lab

イタリア貿易振興促進部(ITA)主催のデザインツアーDesign Export Labのレポートです。2015年のミラノ万博開催を記念した、15年に一度の規模で、参加者は世界10ヵ国の建築家、インテリアデザイナーで構成。万博らしい国際色豊かなツアーとなりました。


イタリアのインテリアを専門に扱うDONOはインテリアコーディネーターが運営しています。イタリア大使館貿易促進部(ITA)が主催するデザインツアーDesign Export Labには、デザイナーとして参加し、イタリアをはじめ、世界10か国のデザイナーと意見交換してきました。一般のお客さまに直接、インテリア提案する立場として、日本の消費者が「何を求めているのか」という、生の声を伝える貴重な場となりました。


1.イタリア家具メーカーに日本の消費者が求めていることを伝える
2.日本国内に偏ることなくイタリア家具を普及させること


以上の2点がDONOのミッションです。今後も引き続き、イタリア家具を学ぶ機会を大切に活動していきます。

ミラノ万博

2015年にミラノで開催された「食」がテーマの万博の会場風景。イタリア・パヴィリオンの設計に携わったイタリア人建築家の案内のもと、会場を視察。後日、ミラノトリエンナーレにて、会場設計者によるレクチャーでは、中世のゴシック様式のドゥオモを始め、近代的な建築物が混在するミラノは世界でも珍しい都市。万博招致レースにおいては、ユニークな都市づくりが大きな勝因となったという裏話も。


また、世界的な「和食」ブ―ムに乗り、金賞を獲得した日本館は組木で構成されたパヴィリオンも大きな話題となりました。後日談として、あまりの組木の美しさに会期終了後に取り壊すのが惜しいとイタリア政府が特例として、ミラノ市内の教会への移築したという逸話も。

デザイン会社オフィス見学

ハイヒール専門のデザイン会社のオフィスを見学しました。北イタリアの郊外にある古い建物をリノベーションしたオフィスです。近未来的なモダンな内装ですが、梁など古い部分をデザインとして活かしつつ、現代のオフィス環境に必要な機能を取り入れた好例。クリエイティブな仕事の場には、オフィスという概念を超えた機能美が必須。デザインしたハイヒールが展示されているミーティングルームや皮革などの資材の収納庫が美しく印象的でした。


日本でも働き方の変化にともない、オフィスデザインが一新されている時代。日本とイタリアの感覚は似ていて、古いものと新しいものをうまく溶け合うオフィス空間は、働く人の居心地の良さを追求した形なのでしょう。

家具メーカー工場視察

北イタリアの家具メーカーLAGOの工場および本社ショールームを視察してきました。一般住宅向けのシンプルな良質な家具を製作する同社。工場を見下ろすように、上階部分に中央に渡り廊下が走っています。整然とした工場全体をすみずみまで見渡せ、工場管理者はもちろん、見学者にも配慮した設計。イタリアの家具工場の特徴は明るく、機能的で、清潔、そして整然としています。併設するショールームと落差が少なく、ブランドの持つ世界観が生かされています。


ショールームの上階部分は、オフィスとなっています。オフィスからショールームを見渡せ、ショールームは天井が抜けているので、自然光が入り、開放感に満ちています。ショールーム内は小さな子供も飽きないよう、ブランコもありました。

ヴェネチア・ビエンナーレ

隔年に一度、開催される芸術のオリンピックとも言われるヴェネチア・ビエンナーレは、世界各国が常設のパヴィリオンを持ち、自国のアーティストの作品を発表し、賞獲得を競います。中でも国際映画祭をご存知の方は多いのではないでしょうか。また、ビエンナーレには、建築年とアート年があります。


アート年にあたる2015年に視察してきました。日本館の塩田千春の作品は金獅子賞こそ逃したものの、来場者の多さとその表情を見るとその評価の高さ窺えました。赤い毛糸に結ばれたのは世界中から集められた「古い鍵」。第一次世界大戦勃発から100周年にあたる2015年のヴェネチア・ビエンナーレのテーマは「次の100年の世界平和」。「人々のこころを開く鍵」となればという作家の平和への願いが込められています。

ヴェネチア国際大学

ヴェネチア内の小さな島にあるヴェネチア国際大学にてイタリアの建築家、デザイナー、主要な家具メーカーとのセッションを1週間行いました。イタリア人建築家のプロジェクトに関するレクチャーは、様々な国のデザイン環境を踏まえ、意見交換しながら進みました。スケールが大きいプロジェクトは急成長中の中国や中東に集中しています。イタリアの有名建築家は、建築だけでなく、インテリア、家具、ファッション、クルマ、ジュエリーなど、日常あるものすべてのプロダクトをデザインするのが特徴です。


このデザインツアーに参加して思うこと―イタリアはデザイン国家として、優秀なデザインが生まれる環境を国レベルで整えています。世界中の著名なデザイナーがイタリアの家具メーカーと組む理由がそこにあります。

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